全国に伝播した祭りの原点は…
岩井 正浩
よさこい祭りは、新しい都市の祭りの先べんをつけたものです。その中核は地元の民俗音楽、民謡であり踊りであり、そして鳴子です。
その後、全国に広く伝播(でんぱ)したよさこい系の祭りも、やはりこのコンセプトを受け継いでいます。そして注目されるのは伝統的な祭りや民俗芸能は、都会から地方へと伝播していくことが主流でした。京都の祇園祭、その祇園囃子(はやし)・山車(だし)・練り風流はその典型です。
南の民のパフォーマンス
高知のよさこい祭りは、まさにこの要素を現代に生かした新しい祭りなのです。《よさこい節》を内包した《よさこい鳴子踊り》、チームを先導する地方車(じかたしゃ)、そして鳴子を持っての行進。祇園祭も新しい要素を導入してきたのですが、よさこい祭りはさらにドラスティックに新しい要素(音楽・踊り・ファッション・構成など)を導入し、自由なパフォーマンスを行っていて、南の民のパフォーマンスに通じるものです。
よさこい祭りはどこから出てきたかと思うほど、女性が表舞台を独占しています。南の民は女性が主役なのです。高知のハチキン、鹿児島のオゴジョ、沖縄のイナグは南国の独立した働きものの女性を表した言葉です。新しい都市の祭りが六十余年も継続して来たこと自体、歴史として定着したことを示しています。
よさこい祭りの原点を押さえコンセプトを生かしていくことが更なる展開をもたらすものと信じてやみません。
よさこい文化協会副代表(神戸大名誉教授)