「よさこい」を記録する意義 寄稿No.3

こうちミュージアムネットワーク          
       会長 筒井秀一(高知市立自由民権記念館長) 

「よさこい」は、現代日本の文化現象として注目すべきものであり、すでに多くの研究がなされています。その中で、特に着目されているのは、その変化、伝播する側面ではないかと思われます。
例えば、民俗学の分野では、矢島妙子著『「よさこい系」祭りの都市民俗学』(岩田書院 2015年)は次のように述べています。 
「これらの「よさこい系」祭りは、それぞれ、祭りとしてのオリジナリティがあり、基本的に参加集団も披露される踊りも毎年変わる、常に変化し続ける祭りです。 一般に、民俗学の対象となるのは、ずっと伝えられてきた、変わらない習俗と考えられている。しかし、時代により、人も価値観も違っていくなかで何も変わらないで存在し続けることが可能なのだろうか。変化し続ける祭りである「よさこい系」祭りでそれを検証してみたい。そのことは、現代社会における人々の集合性と地域文化の継承性について考察することとなる」 
 だとすれば、逆説的に「よさこい」当初の姿、発祥のいきさつや関わった人々の思いに関する資料を収集、保存しておくことは、極めて重要になってきます。 
 「よさこい文化協会」の「設立趣旨」や「活動内容」には、このことに取り組むことが謳われています。 
 高知の歴史にとっても貴重な資料である「よさこい」関係資料の収集、保存が進展することに期待したいと思います。                       

(了)


(第65回よさこい祭り、高知市の升形地域競演場)